Live imaging of yeast Golgi cisternal maturation
Kumi Matsuura-Tokita, Masaki Takeuchi, Akira Ichihara, Kenta Mikuriya and��Akihiko Nakano
doi:10.1038/nature04737
手前味噌ですが、これは肉親云々抜きにsensatinalだと思うので解説。
Yahoo! Newsにも載りましたし。
ゴルジ体とは
ゴルジ体とは、細胞の中にある「細胞小器官」という器官の一つです。
ざっくり言うと、核とか、ミトコンドリアとか、葉緑体とかと同列の存在です。
ゴルジ体は何層かに別れた形をしています。
平べったい、円盤のようなものが、数枚かさなった形です。
細胞の中では、いろんなタンパク質がつぎつぎ作られて、
そいつの「いるべき場所」へ運ばれていくのですが、
その運ぶ道のひとつが、ゴルジ体を通っていきます。
「細胞内小器官」のひとつである「小胞体」というところでつくられたタンパク質が、
「小胞」という泡みたいなのの中につめこまれて
えっちらほっちらゴルジ体までやってくると、
ゴルジ体の「層」、円盤みたいなやつをたらいまわしにされながら、
いろいろいじられるのです。
いろいろくっつけられたりするのです。
ゴルジ体の層を一通り回って、いじられ終わったら、
また泡にくるまれてえっちらほっちら、「いるべき場所」へ運ばれていきます。
背景
さて、これまでの背景を説明します。
上で説明したように、タンパク質はかわいそうにゴルジ体の中で
いじられながらどんどんたらいまわしにされていくわけですが、
では、その「層」の間はどう移動しているのでしょうか?
説その1
そんなのわかりきってるじゃんか!!
ゴルジ体までやってきたのとおなじように、
ゴルジ体からどこかへいくのと同じように、
泡にくるまれて渡してるんだろうよ!!
説その2
ほんまかいな!!証拠はあんのけ?!??
そうじゃなくて、
「層」そのものが動くんだよ!
つまりね、最初っから最後まで同じ「層」のなかにいてだね、
「層」のいじりかたが変わってくだけなんだよ!
いっかいゴルジ体の中にはいったらそのままなの!
と、世界を二つにわけた大げんかが起きていたわけです。
今回の論文
さぁここで、この論文の登場です。
この大げんかをおさめる先生みたいなもんです。
先生
おまえらどっちも想像だけでものを言って、相手を否定してはダメだよ。
だからね、先生がこの目で見てきてあげたよ!
「層」のそれぞれに別の色のシャツをきてもらってだね、
いつも通りやってもらったんだよ。
赤いシャツの層は一つ目のいじり。
緑のシャツの層は二つ目のいじりって感じで。
そしたらね、だんだんシャツの色がかわっていくんだよ!
人はかわらないのに、いじりかたが変わってくんだよ!!
つまり、「説その2」のが正しかったみたいだょ☆
というわけです。
すごいところ
さてこの論文のなにがすごいのか。
一つには、上にあげたような、世界の大論争に決着をつけられるかも!?ということ。
つけられる「かもしれない」ですので、注意。
二つには、「見てきたよ」というその事実です。
理研とNHKと日立とそのたいろんな人が協力して作り上げた、
とある特殊な顕微鏡を使うと、
生きた細胞の中で、100nm (1mmの一万分の一)まで見ることができて、
さらにものすごいスピードで、立体的に撮ってくれるのです。
MRIって、聞いたことありますよね?
ヒトの体を輪切りにたくさん撮って、
重ね合わせて立体的な体をつくるってやつ。
脳の形とかでよくやってるやつです。
あれと同じ事です。
このものすごい(世界一じゃないかな?少なくとも日本一)の顕微鏡で、
「見てきたよ」とさらっと言ってのけたわけです。
つまり、整理すると、
1:ゴルジ体の論争に終止符か!?!?
2:この顕微鏡すげーーー!!!!!!
この顕微鏡を使えば、今まで見えなかったいろんなものが、
ものっすごく細かく、立体的に、動画として、見れるのです。
と、いうわけです。
と、いい加減なことばかり書いていてもあれなので、
一応専門的にも書きます。
要は、ゴルジ体のネットワークの話です。
細胞生物学をかじった人なら多分知ってる、
小胞輸送モデルは、
cis漕からtrans漕はそれぞれ固定されていて、
cargoはその間を小胞によって輸送されるというモデル。
もうひとつの漕成熟モデルは、
cis側の漕が新しく形成され、
trans側の漕は徐々に成熟して最終的に消滅するというモデル。
確認までに、ER側がcis、リソソーム・液胞・分泌側がtransです。
で、今回の論文は、分解能100nmで3D画像を5s毎にとりこめるという、
high-performance confocal laser scanning microscopic system
高性能共焦点レーザースキャン顕微鏡システム
を利用したもので、これは理化学研究所中野研、NHK、日立などが共同で開発したものです。
それで何をしたかというと、
cis, medial, transの各cisternaeで特異的に発現する膜タンパクと
GFP, RFPとの融合タンパクを発現させて、
(たとえばcisはGFP、transはRFP、とか)
それを上述の顕微鏡で観察したのです。
すると、緑が黄色を経て赤に変わる、とか
緑が消えて赤が新しく現れる、とかを観察したのです。
こっからはややこしいので上には書きませんでしたが、
ゴルジタンパクのリサイクリングのために小胞輸送をも用いています。
そこで、COP I小胞を作れないミュータントで同様の実験を行うと、
効率は落ち、時間はかかるものの、同様の観察ができた。と。
結論は、
Formation and maintenance of Golgi apparatusは
Vesicle trafficking modelではなく、
Cisternal maturation modelが正しい、と、
「明確に証明した」のです。
こぼれ話。。
この説を語ってるときに、とある先生に「見たんか」と言われ、
「そない言うなら見たろうやないけ」となって、
まじで「見たった」らしいです。
本当かどうかは知りませんが・・・・
追記:酵母 Saccharomyces cerecisiae での実験系です。
実際の動画など:ここ
英語ですが、「Supplementary Figure 1」とか
「Supplementary Video 1」とか書いてあるのの下の、
「Download PDF file」とか「Download Movie」とかをクリックしてください。
実際に色が変わっていくところとか、モデル図とかを見れます?
2006年05月16日
2006年04月22日
<難> Concanavalin Aについて<難>
lectin, 特にlegume lectinであるConcanavalin Aについて
この半月で調べたことをまとめます。
内容は平易とは言えないでしょう。
メモ程度に書くので、専門の人以外には厳しいかもしれません。
では。
Lectinとは
Lectin / レクチンとは,糖鎖を特異的に認識し、
糖鎖を持つ糖タンパク(glycoprotein)や糖脂質(glycolipid)などと結合するタンパク質の総称。
膜タンパク質のほとんどが糖タンパク質と言われており、
膜脂質と併せて膜は糖鎖にコーティングされている。
これら膜糖鎖は常に細胞外(extracellular)に存在し、
細胞内(cytosol)には存在しない。
レクチンは様々な生物に見つかっており、
一つの生物種に多くのレクチンが同定されている。
しかしそれ故に,逆遺伝学的解析 (reverse genetic analysis) には困難が伴う。
すなわち,一つのレクチンの欠損株において,
他のレクチンが欠損レクチンの機能をカバーするため,
表現型が顕著に現れにくい。
このため,レクチンの生物体における一般的な生理的意義・機能は未解明である。
(一部のレクチンについては一部の生理的機能が解明されている)
Essential Cell Biology 2nd edition
分子生物学 東京化学同人
Legume lectinについて
Legume lectin, すなわちマメ科のレクチンは,
もっとも一次構造や特異性の解析の進んでいるレクチンのひとつである。
多くが精製されており、また糖鎖特異性のバラエティーから、
その他のレクチン解析、特に動物C型レクチンの解析に貢献している。
legume lectinで発見され、後にその他のタイプで見つかった現象も多く報告されている。
通常二つもしくは四つのサブユニットを持ち、
それぞれ同じ特異性を有する糖鎖結合部位をもつ。
またCaイオンやMgイオンとの結合部位をもち,
これらは糖鎖との結合に不可欠といわれている。
legume lectinファミリーの構成メンバーの一次構造は高い相同性を持つ。
一次構造では〜20%が保存され、20%が似た配列となっている。
また20以上のlegume lectinで様々なリガンドと結合したものを含み
100以上の三次構造がX線解析によって解明されている。
Sharon, A.; Lis, H. How proteins bid carbohydrates: Lessons from Legume Lectins. J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 6586-6591
Concanavalin Aについて
Concanavalin A, ConAはマメ科多年生植物である,
タチナタマメ,Canavalia ensiformis, Jack beanの種子の子葉から精製された
legume lectinの一種である。
jack beanの成熟種子に20%近く含有されるタンパク質である。
α-Man, α-Glcに特異的に結合し、酵素活性は同定されていない。
アミノ酸配列は同定済み。
Vacuolar Targetting Signalをもち,ERで翻訳後液胞へ輸送される。
Signal Peptideの切断、糖鎖付加を経て34kDaのprecusorとして翻訳され(preproConA)
Post-translational Processingをうけて237 a.a., 30kDaのmature ConAとなる。
このprocessingは液胞で行われていると考えられている。

まずdeglycosylation, Protein cleavageにより,ふたつのpeptideができる。
このときまだCTPP (C terminal propeptide)は結合したままである。
このあとCTPPの切断と同時にreligationがおきることにより,
mature ConAが生成される。
とりあえず,ここまで。
今読んでる論文のリストをあげときます。
Herman, E.M. et al, Planta 1985, 165; 23-29
Concanavalin A is synthesized as a glycoprotein precursor.
Maarten J.Chrispeels, et al The Journal of Biol. Chem. 1986, 261, 10021-10024
Characterization of the Endoplasmic Reticulum-associated Precursor of Concanavalin A.
Bowles, D J et al, The Journal of Cell Biol., 1986, 102, 1284-1297
Posttranslational Processing of Concanavalin A Precursors in Jackbean Cotyledons.
Faye, L et al, Planta, 1987, 170; 217-224
Transport and processing of the glycosylated precursor of Concanavalin A in Jack-bean.
Wallace, CJA, Protein Sci. 1993 2(5):697-705.
The curious case of protein splicing: Mechanistic insights suggested by protein semisynthesis
Sheldon PS et al, Biochem J. 1996320 ( Pt 3):865-70.
Post-translational peptide bond formation during concanavalin A processing in vitro.
Ramis C et al, Journal of Experimental Botany 2001 52, 911-917
Deglycosylation is necessary but not sufficient for activation of proconcanavalin A.
Sharon N et al, J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 6586-6591
How Proteins Bind Carbohydrates: Lessons from Legume Lectins.
Claude, SJD et al, Plant Cell Physiol. 2005 46(10): 1603-1612
Targeting of proConA to the Plant Vacuole depends on its Nine Amino-acid C-terminal Propeptide
Downes, B et al, Biochem Soc Trans., 200533(Pt 2):393-9.
Post-translational regulation in plants employing a diverse set of polypeptide tags.
この半月で調べたことをまとめます。
内容は平易とは言えないでしょう。
メモ程度に書くので、専門の人以外には厳しいかもしれません。
では。
Lectinとは
Lectin / レクチンとは,糖鎖を特異的に認識し、
糖鎖を持つ糖タンパク(glycoprotein)や糖脂質(glycolipid)などと結合するタンパク質の総称。
膜タンパク質のほとんどが糖タンパク質と言われており、
膜脂質と併せて膜は糖鎖にコーティングされている。
これら膜糖鎖は常に細胞外(extracellular)に存在し、
細胞内(cytosol)には存在しない。
レクチンは様々な生物に見つかっており、
一つの生物種に多くのレクチンが同定されている。
しかしそれ故に,逆遺伝学的解析 (reverse genetic analysis) には困難が伴う。
すなわち,一つのレクチンの欠損株において,
他のレクチンが欠損レクチンの機能をカバーするため,
表現型が顕著に現れにくい。
このため,レクチンの生物体における一般的な生理的意義・機能は未解明である。
(一部のレクチンについては一部の生理的機能が解明されている)
Essential Cell Biology 2nd edition
分子生物学 東京化学同人
Legume lectinについて
Legume lectin, すなわちマメ科のレクチンは,
もっとも一次構造や特異性の解析の進んでいるレクチンのひとつである。
多くが精製されており、また糖鎖特異性のバラエティーから、
その他のレクチン解析、特に動物C型レクチンの解析に貢献している。
legume lectinで発見され、後にその他のタイプで見つかった現象も多く報告されている。
通常二つもしくは四つのサブユニットを持ち、
それぞれ同じ特異性を有する糖鎖結合部位をもつ。
またCaイオンやMgイオンとの結合部位をもち,
これらは糖鎖との結合に不可欠といわれている。
legume lectinファミリーの構成メンバーの一次構造は高い相同性を持つ。
一次構造では〜20%が保存され、20%が似た配列となっている。
また20以上のlegume lectinで様々なリガンドと結合したものを含み
100以上の三次構造がX線解析によって解明されている。
Sharon, A.; Lis, H. How proteins bid carbohydrates: Lessons from Legume Lectins. J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 6586-6591
Concanavalin Aについて
Concanavalin A, ConAはマメ科多年生植物である,
タチナタマメ,Canavalia ensiformis, Jack beanの種子の子葉から精製された
legume lectinの一種である。
jack beanの成熟種子に20%近く含有されるタンパク質である。
α-Man, α-Glcに特異的に結合し、酵素活性は同定されていない。
アミノ酸配列は同定済み。
Vacuolar Targetting Signalをもち,ERで翻訳後液胞へ輸送される。
Signal Peptideの切断、糖鎖付加を経て34kDaのprecusorとして翻訳され(preproConA)
Post-translational Processingをうけて237 a.a., 30kDaのmature ConAとなる。
このprocessingは液胞で行われていると考えられている。
まずdeglycosylation, Protein cleavageにより,ふたつのpeptideができる。
このときまだCTPP (C terminal propeptide)は結合したままである。
このあとCTPPの切断と同時にreligationがおきることにより,
mature ConAが生成される。
とりあえず,ここまで。
今読んでる論文のリストをあげときます。
Herman, E.M. et al, Planta 1985, 165; 23-29
Concanavalin A is synthesized as a glycoprotein precursor.
Maarten J.Chrispeels, et al The Journal of Biol. Chem. 1986, 261, 10021-10024
Characterization of the Endoplasmic Reticulum-associated Precursor of Concanavalin A.
Bowles, D J et al, The Journal of Cell Biol., 1986, 102, 1284-1297
Posttranslational Processing of Concanavalin A Precursors in Jackbean Cotyledons.
Faye, L et al, Planta, 1987, 170; 217-224
Transport and processing of the glycosylated precursor of Concanavalin A in Jack-bean.
Wallace, CJA, Protein Sci. 1993 2(5):697-705.
The curious case of protein splicing: Mechanistic insights suggested by protein semisynthesis
Sheldon PS et al, Biochem J. 1996320 ( Pt 3):865-70.
Post-translational peptide bond formation during concanavalin A processing in vitro.
Ramis C et al, Journal of Experimental Botany 2001 52, 911-917
Deglycosylation is necessary but not sufficient for activation of proconcanavalin A.
Sharon N et al, J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 6586-6591
How Proteins Bind Carbohydrates: Lessons from Legume Lectins.
Claude, SJD et al, Plant Cell Physiol. 2005 46(10): 1603-1612
Targeting of proConA to the Plant Vacuole depends on its Nine Amino-acid C-terminal Propeptide
Downes, B et al, Biochem Soc Trans., 200533(Pt 2):393-9.
Post-translational regulation in plants employing a diverse set of polypeptide tags.
2006年03月07日
ゴキブリがパブロフの犬反応
ゴキブリがパブロフの犬反応
興味津々度:★★★★☆
ゴキブリも条件反射するらしいです。
条件反射とはよく使われる言葉ですが、大辞泉によると
「ある反射を起こさせる刺激と、それとは無関係な第二の刺激を同時に与えることを繰り返すと、ついには第二の刺激だけで初めと同じ反射を起こす現象」
だそうです。
熱いものを触ると手が無意識にひっこむのは無条件反射。先天的なものです。
そうではなくて,後天的に得る反射が条件反射なのです。
表題にもなっているパブロフの犬反応のお話。
そもそもは,犬が飼育係の足音で唾液を分泌していたことが始まりだそうです。
つまり,飼育係が来る=餌がもらえる=よだれ,というわけ。
昔飼ってたうちの犬も、親の足音だけできゃんきゃんいってました。
親が帰ってくる=子供が散歩に行ってないと怒られる=今からつれてってもらえる(=餌),というわけ。
これが条件反射かどうかは分かりませんが(ただ単になついてるからなくだけかも)。
そしてロシア人のイワン・パブロフがある実験をしました。
<実験>
まず,単に餌を与えることで唾液が分泌されることを確認。
また,関係のない、ベルの音では唾液が分泌されないことを確認。
この犬にベルの音と餌を同時に与えることを繰り返すと、
しばらくしてベルの音だけで唾液を分泌するようになった。
すなわち,ベルの音=餌=唾液,となったわけです。
これが,「条件反射」です。
なにか日常では条件反射という言葉はあまり意識せず普通に使うこともあり、
若干意味と言うか用法が違うような気がしますが、科学的には上記が正確な定義です。
今回のニュースでは、これがゴキブリでもなりたったとのこと。
つまり,ゴキブリに学習能力があることを科学的に証明したわけです。
(ごめんなさい,「学習能力」という言葉遣いが正しいかどうかはわかりません。
ここではつかみ易いのでこの言葉を使わせてもらいます。)
なるほど,ゴキブリがしぶとく,ものっすごく繁栄する理由が見えてきた気がしますね。
ところで,条件反射はなぜおこるのでしょうか?
上記の実験のパブロフによると,条件刺激が成立すると、新たな神経経路が形成されます。
つまり,今までなんの関係もなかった「ベルの音」と「食(唾液の分泌)」という事柄が
新しい神経によってつながれるわけです。
そこで,「ベルの音」という刺激に対して,「唾液の分泌」という反応につながるわけです。
ちなみにおもしろいことに,この条件反射が成り立っている犬に対して
ベルの音だけを与え続けると、条件反射は消滅してしまいます。
これもまた「学習能力」のひとつですね。
無条件反射というのは先天的な反射であって,いわゆるところの「本能」です。
「食事をする=唾液が分泌される」がこれにあたります。
そして条件反射というのは、先天的なものではなく、成育過程によって環境から獲得される反応です。
「ベルの音」と「餌」が結びつく環境においては上記の条件反射は有効ですが、
それが成り立たない環境においては無意味であり、それゆえに消滅してしまいます。
逆に結びつく環境が続くと,条件反射が徐々に強化されていき、「遺伝」されることになるのです。
(ごめんなさい,そのメカニズムはよくわかりません。神経系は専門ではないので・・・)
つまり,その子孫は「先天的に」その「条件反射」を持ち合わせているわけです。
そう,強化されることで「条件反射(=獲得したもの)」は「無条件反射(=本能)」へと姿を変えるのです。
そして元々あった「無条件反射(=本能)」は新しいものにとってかわられるのです。
これのわかりやすい実例が様々な動物の家畜化,ペット化です。
オオカミ(wolf)から家犬(house dog)へ,イノシシから豚へ。
もちろんこれは人為的,人間による強制的な環境の変化ですが、
地球の数十億年の歴史における様々な環境の急激な変化によっても引き起こされうるものです。
一説にはこれによって昆虫のような多種多様な生物種を形成するに至る過程が説明されると言う話もあります。
そして!!今回、昆虫においても条件反射が成立することが確認されたのです。
これからさらに,「進化」「多様化」に関する研究が進むことは容易に想像できるでしょう。
興味津々度:★★★★☆
ゴキブリも条件反射するらしいです。
条件反射とはよく使われる言葉ですが、大辞泉によると
「ある反射を起こさせる刺激と、それとは無関係な第二の刺激を同時に与えることを繰り返すと、ついには第二の刺激だけで初めと同じ反射を起こす現象」
だそうです。
熱いものを触ると手が無意識にひっこむのは無条件反射。先天的なものです。
そうではなくて,後天的に得る反射が条件反射なのです。
表題にもなっているパブロフの犬反応のお話。
そもそもは,犬が飼育係の足音で唾液を分泌していたことが始まりだそうです。
つまり,飼育係が来る=餌がもらえる=よだれ,というわけ。
昔飼ってたうちの犬も、親の足音だけできゃんきゃんいってました。
親が帰ってくる=子供が散歩に行ってないと怒られる=今からつれてってもらえる(=餌),というわけ。
これが条件反射かどうかは分かりませんが(ただ単になついてるからなくだけかも)。
そしてロシア人のイワン・パブロフがある実験をしました。
<実験>
まず,単に餌を与えることで唾液が分泌されることを確認。
また,関係のない、ベルの音では唾液が分泌されないことを確認。
この犬にベルの音と餌を同時に与えることを繰り返すと、
しばらくしてベルの音だけで唾液を分泌するようになった。
すなわち,ベルの音=餌=唾液,となったわけです。
これが,「条件反射」です。
なにか日常では条件反射という言葉はあまり意識せず普通に使うこともあり、
若干意味と言うか用法が違うような気がしますが、科学的には上記が正確な定義です。
今回のニュースでは、これがゴキブリでもなりたったとのこと。
つまり,ゴキブリに学習能力があることを科学的に証明したわけです。
(ごめんなさい,「学習能力」という言葉遣いが正しいかどうかはわかりません。
ここではつかみ易いのでこの言葉を使わせてもらいます。)
なるほど,ゴキブリがしぶとく,ものっすごく繁栄する理由が見えてきた気がしますね。
ところで,条件反射はなぜおこるのでしょうか?
上記の実験のパブロフによると,条件刺激が成立すると、新たな神経経路が形成されます。
つまり,今までなんの関係もなかった「ベルの音」と「食(唾液の分泌)」という事柄が
新しい神経によってつながれるわけです。
そこで,「ベルの音」という刺激に対して,「唾液の分泌」という反応につながるわけです。
ちなみにおもしろいことに,この条件反射が成り立っている犬に対して
ベルの音だけを与え続けると、条件反射は消滅してしまいます。
これもまた「学習能力」のひとつですね。
無条件反射というのは先天的な反射であって,いわゆるところの「本能」です。
「食事をする=唾液が分泌される」がこれにあたります。
そして条件反射というのは、先天的なものではなく、成育過程によって環境から獲得される反応です。
「ベルの音」と「餌」が結びつく環境においては上記の条件反射は有効ですが、
それが成り立たない環境においては無意味であり、それゆえに消滅してしまいます。
逆に結びつく環境が続くと,条件反射が徐々に強化されていき、「遺伝」されることになるのです。
(ごめんなさい,そのメカニズムはよくわかりません。神経系は専門ではないので・・・)
つまり,その子孫は「先天的に」その「条件反射」を持ち合わせているわけです。
そう,強化されることで「条件反射(=獲得したもの)」は「無条件反射(=本能)」へと姿を変えるのです。
そして元々あった「無条件反射(=本能)」は新しいものにとってかわられるのです。
これのわかりやすい実例が様々な動物の家畜化,ペット化です。
オオカミ(wolf)から家犬(house dog)へ,イノシシから豚へ。
もちろんこれは人為的,人間による強制的な環境の変化ですが、
地球の数十億年の歴史における様々な環境の急激な変化によっても引き起こされうるものです。
一説にはこれによって昆虫のような多種多様な生物種を形成するに至る過程が説明されると言う話もあります。
そして!!今回、昆虫においても条件反射が成立することが確認されたのです。
これからさらに,「進化」「多様化」に関する研究が進むことは容易に想像できるでしょう。
2006年02月01日
Column :: The Death of plants
これからこういうコラム的なものをちょこちょこ書いていこうと思っていますが,
これらは特別に参照論文の提示などがない場合,全て僕の個人的な考えですので,
それをレポートに使うとか,事実のように人に話すとかはやめてくださいね。
まぁ僕はいいのですが,恥をかくのはあなたですから。
その責任を僕に押し付けないでくださいね,という話です。
それでは,本題。
高校時代の友達から「植物にとっての死とは?」という質問がきました。
「趣味で論文読むときにどう読んでるか」という質問と一緒にきたので
軽い気持ちで返そうと思ったのですが、
どうしてなかなか,答えがすぱっと浮かびません。
これはまずいと思い,いろいろ考えた結果をつらつらと書きたいと思います。
まず,「死」と言ってもいろいろありますよね。
細胞レベルの死,器官レベルの死,個体レベルの死。
細胞レベルの死では、動物も植物も多細胞も単細胞も真核も原核も糞もありません。
細胞死には二通りがあります。apoptosisとnecrosis。
necrosisはなんらかの損傷や酸素不足により死ぬこと。Mitochondrionが徐々に膨らみ、
細胞自体が膨張し、ついには破けて中身をぶっちゃけてしまう。
このときにプロテアーゼとかもぶっちゃけちゃうから
まわりはたまったものじゃないですね。迷惑です。
apoptosisはウィルス感染や、生育上の理由から細胞自らが死を選ぶこと。
caspase familyが関与していて、Mitochondria pathwayとか,
ER pathwayとかがありますね。(David G Breckenridge et al., 2003)
植物では液胞にあるVPE (液胞プロセシング酵素)が関与しています。
(Noriyuki Hatsugai et al., 2004)
ちなみにこのことは僕が来春から所属する西村研の西村いく子教授が発見しました。
VPEもいく子さんが発見しました。液胞と言ったら西村研です。
さてさて,個体レベルでの死とはなんでしょうか。
個体は細胞のかたまりですから,細胞の死なんですけども。
たとえば,人間の死は、どこが死の認定なんでしょうか?
wikipediaによると,脳・胚・心臓の全てが不可逆に停止すること。
そもそも死とは「生命活動を不可逆的に停止すること」とある。
じゃぁ,生命活動とはなんぞや?特に,植物において生命活動とはなんぞや?
分裂をしなくなることでしょうか?
じゃぁ"冬眠"状態(つまり春化する前の)種子は死んでいるのでしょうか?
(春化していない種子は分裂していないのかは
定かじゃありません。してないと思うのですが)
さっき上で「細胞の死なんですけども」とぽろりと言いましたが,
先ほども言った通り個体の中では常にapoptosisが起きています。
葉っぱが落ちるときに付け根の葉柄という部分の細胞が死んでいるのです。
種子を作るときに胚の外の層が死んで種皮ができるのです。
死細胞の残りかすが導管です。
つまり,細胞が死んでるのに個体が死なないケースはいっぱいあります。
逆に個体が死んでるのに細胞が死なないケースというのはあるのでしょうか?
つまり,たとえば,脳・心臓・胚が不可逆的に停止した瞬間。
その瞬間,目の細胞も死んでるのでしょうか?
皮膚の細胞も一緒に死んでるのでしょうか?
そうは思えませんよね。
もちろん,ほっといたら酸素供給がないわけですからそのうち死ぬでしょうが。
さて,いま疑問におもった方はいますか?
いま,「個体の死」を定義しようとしているのに,さらりと個体の死に言及しました。
今は、植物についての話ですから、動物,特に人間については、
さっき上の方で言及したwikipediaの説を使おうかなと思って。
つまり,人間では個体が死んでるのに細胞が生きてることはあり得る,ということ。
さて,では植物で考えてみましょうか。
個体の99%の細胞が死んだと仮定しましょう。
いや,極端な話で、一個を残してほかの全ての細胞が死んだと仮定しましょう。
生きているのはたった一つの細胞だけです。
こんな話を知っていますか?植物のパワーの話です。有名な話ですが。
人参をすりつぶして,suspendして,たぶんEDTAかなんかで
処理したりするんでしょうね,そうして細胞一個を単離します。
んで,それをある培地にいれて培養してやると,なんと人参が生えてくるんです。
たった一つの細胞から、全個体が復元,再生されるのです。
(Essential Cell Biology 2nd edition どっか探したら載ってます。)
つまり,植物のどんな細胞にも、脱分化し一個体を復元する能力があるのです。
つまり,differentiated cellからtotipotent cellになるのです。
話をもどしましょう。
たった一つの細胞から一個体を復元できるとすれば,
一つの細胞が生きていれば、個体全体が生き返るという訳です。
人間の場合は,指の細胞が生きていてもそれを培養したら
人間が生き返る訳じゃありません。生き返ってもらっちゃ困ります。
ですからこれを死とする訳です。
でも植物はひとつでも生きていれば、個体が生き返るのですから、
それを死としたらそれはちょっとかわいそうでしょう。
つまり,僕としての結論は、
「植物の個体としての死」とは,
その個体を構成する全細胞が死ぬことである
と考えます。
こんな自明に見えるような結論にたどり着くまでこんなにかかりました。
yanoirさん,読んでるかな、こんな結論でいかがでしょうか?
メールで数行でさくっと返したけど実はこんなに考えてたのよ。
だから今度お酒おごってください。
References
David G Breckenridge, Marc Germain, Jaigi P Mathai, Mai Nguyen and Gordon C Shore (2003). Regulation of apoptosis by endoplasmic reticulum pathways. Oncogene 22, 8608-8618.
Hatsugai, H., Kuroyanagi, M., Yamada, K., Meshi, T., Tsuda, S., Kondo, M., Nishimura, M., Hara-Nishimura, I.(2004). A plant vacuolar protease, VPE, mediates virus-induced hypersensitive cell death. SCIENCE 305, 855-858.
これらは特別に参照論文の提示などがない場合,全て僕の個人的な考えですので,
それをレポートに使うとか,事実のように人に話すとかはやめてくださいね。
まぁ僕はいいのですが,恥をかくのはあなたですから。
その責任を僕に押し付けないでくださいね,という話です。
それでは,本題。
高校時代の友達から「植物にとっての死とは?」という質問がきました。
「趣味で論文読むときにどう読んでるか」という質問と一緒にきたので
軽い気持ちで返そうと思ったのですが、
どうしてなかなか,答えがすぱっと浮かびません。
これはまずいと思い,いろいろ考えた結果をつらつらと書きたいと思います。
まず,「死」と言ってもいろいろありますよね。
細胞レベルの死,器官レベルの死,個体レベルの死。
細胞レベルの死では、動物も植物も多細胞も単細胞も真核も原核も糞もありません。
細胞死には二通りがあります。apoptosisとnecrosis。
necrosisはなんらかの損傷や酸素不足により死ぬこと。Mitochondrionが徐々に膨らみ、
細胞自体が膨張し、ついには破けて中身をぶっちゃけてしまう。
このときにプロテアーゼとかもぶっちゃけちゃうから
まわりはたまったものじゃないですね。迷惑です。
apoptosisはウィルス感染や、生育上の理由から細胞自らが死を選ぶこと。
caspase familyが関与していて、Mitochondria pathwayとか,
ER pathwayとかがありますね。(David G Breckenridge et al., 2003)
植物では液胞にあるVPE (液胞プロセシング酵素)が関与しています。
(Noriyuki Hatsugai et al., 2004)
ちなみにこのことは僕が来春から所属する西村研の西村いく子教授が発見しました。
VPEもいく子さんが発見しました。液胞と言ったら西村研です。
さてさて,個体レベルでの死とはなんでしょうか。
個体は細胞のかたまりですから,細胞の死なんですけども。
たとえば,人間の死は、どこが死の認定なんでしょうか?
wikipediaによると,脳・胚・心臓の全てが不可逆に停止すること。
そもそも死とは「生命活動を不可逆的に停止すること」とある。
じゃぁ,生命活動とはなんぞや?特に,植物において生命活動とはなんぞや?
分裂をしなくなることでしょうか?
じゃぁ"冬眠"状態(つまり春化する前の)種子は死んでいるのでしょうか?
(春化していない種子は分裂していないのかは
定かじゃありません。してないと思うのですが)
さっき上で「細胞の死なんですけども」とぽろりと言いましたが,
先ほども言った通り個体の中では常にapoptosisが起きています。
葉っぱが落ちるときに付け根の葉柄という部分の細胞が死んでいるのです。
種子を作るときに胚の外の層が死んで種皮ができるのです。
死細胞の残りかすが導管です。
つまり,細胞が死んでるのに個体が死なないケースはいっぱいあります。
逆に個体が死んでるのに細胞が死なないケースというのはあるのでしょうか?
つまり,たとえば,脳・心臓・胚が不可逆的に停止した瞬間。
その瞬間,目の細胞も死んでるのでしょうか?
皮膚の細胞も一緒に死んでるのでしょうか?
そうは思えませんよね。
もちろん,ほっといたら酸素供給がないわけですからそのうち死ぬでしょうが。
さて,いま疑問におもった方はいますか?
いま,「個体の死」を定義しようとしているのに,さらりと個体の死に言及しました。
今は、植物についての話ですから、動物,特に人間については、
さっき上の方で言及したwikipediaの説を使おうかなと思って。
つまり,人間では個体が死んでるのに細胞が生きてることはあり得る,ということ。
さて,では植物で考えてみましょうか。
個体の99%の細胞が死んだと仮定しましょう。
いや,極端な話で、一個を残してほかの全ての細胞が死んだと仮定しましょう。
生きているのはたった一つの細胞だけです。
こんな話を知っていますか?植物のパワーの話です。有名な話ですが。
人参をすりつぶして,suspendして,たぶんEDTAかなんかで
処理したりするんでしょうね,そうして細胞一個を単離します。
んで,それをある培地にいれて培養してやると,なんと人参が生えてくるんです。
たった一つの細胞から、全個体が復元,再生されるのです。
(Essential Cell Biology 2nd edition どっか探したら載ってます。)
つまり,植物のどんな細胞にも、脱分化し一個体を復元する能力があるのです。
つまり,differentiated cellからtotipotent cellになるのです。
話をもどしましょう。
たった一つの細胞から一個体を復元できるとすれば,
一つの細胞が生きていれば、個体全体が生き返るという訳です。
人間の場合は,指の細胞が生きていてもそれを培養したら
人間が生き返る訳じゃありません。生き返ってもらっちゃ困ります。
ですからこれを死とする訳です。
でも植物はひとつでも生きていれば、個体が生き返るのですから、
それを死としたらそれはちょっとかわいそうでしょう。
つまり,僕としての結論は、
「植物の個体としての死」とは,
その個体を構成する全細胞が死ぬことである
と考えます。
こんな自明に見えるような結論にたどり着くまでこんなにかかりました。
yanoirさん,読んでるかな、こんな結論でいかがでしょうか?
メールで数行でさくっと返したけど実はこんなに考えてたのよ。
だから今度お酒おごってください。
References
David G Breckenridge, Marc Germain, Jaigi P Mathai, Mai Nguyen and Gordon C Shore (2003). Regulation of apoptosis by endoplasmic reticulum pathways. Oncogene 22, 8608-8618.
Hatsugai, H., Kuroyanagi, M., Yamada, K., Meshi, T., Tsuda, S., Kondo, M., Nishimura, M., Hara-Nishimura, I.(2004). A plant vacuolar protease, VPE, mediates virus-induced hypersensitive cell death. SCIENCE 305, 855-858.
2006年01月30日
メンデルの法則
奈良先端科学技術大学院大の高山誠司教授(細胞間情報学)と東北大などのグループが奈良先端科学技術大学院大の高山誠司教授などのグループがメンデルの法則の「優勢の法則」の原因の一つを解明しました。
興味津々度:☆☆☆☆★
原著論文:Dominance relationships between self-incompatibility alleles controlled by DNA methylation
本文はまだ読んでませんが。。あさって学校で読んできます。家じゃ読めませんので。
Nature genetics / Advance Online Publications よりFreeでAbstract読めます。
「優勢の法則」とはある遺伝子のいくつかのアリルの中で優性と劣性があり,
たとえばしわがAで丸がaだとして,AAとAaはしわでaaは丸だとAが優勢aが劣勢になります。
これはなんでかってことの一端を解明したとのこと。
論文で直接示されてるのは,SP11という遺伝子で,劣勢アリルは5'側プロモーターが
メチレーションをおこすことによって転写がおこらなくなること。
詳しいことはちゃんとFull Text読んでからまた書きます。
興味津々度:☆☆☆☆★
原著論文:Dominance relationships between self-incompatibility alleles controlled by DNA methylation
本文はまだ読んでませんが。。あさって学校で読んできます。家じゃ読めませんので。
Nature genetics / Advance Online Publications よりFreeでAbstract読めます。
「優勢の法則」とはある遺伝子のいくつかのアリルの中で優性と劣性があり,
たとえばしわがAで丸がaだとして,AAとAaはしわでaaは丸だとAが優勢aが劣勢になります。
これはなんでかってことの一端を解明したとのこと。
論文で直接示されてるのは,SP11という遺伝子で,劣勢アリルは5'側プロモーターが
メチレーションをおこすことによって転写がおこらなくなること。
詳しいことはちゃんとFull Text読んでからまた書きます。

